旧日本海軍兵の革トランク

1931[昭和 6]年10月31日の時点で海軍一等機関兵
1934[昭和9]年4月29日 昭和六年乃至九年事変従軍記章
1934[昭和 9]年11月 1日 海軍三等機関兵曹
1937[昭和12]年 5月 1日 海軍二等機関兵曹
193?[昭和1?]年 ?月 ?日 海軍一等機関兵曹
1939[昭和14]年12月14日 勲八等授瑞宝章
1940[昭和15]年 4月29日 支那󠄁事變従軍記章
1942[昭和17]年 9月 8日 勲七等授瑞宝章
1945[昭和20]年11月29日 勲六等授瑞宝章
Upholstery: 一度濡れたような歪み、傷だらけで黒いシミのついた革は残しての修理を試みたが、のり剥がれ、革素材の部分は全て紙のように破けやすい状態にまで劣化しているため革張り替えに修理方針を切り替えた。歪みがあった土台となる台紙は水を含ませ重しをし平らに成形。角の補強部品である八方は新しいものを再度縫い付けるため角の部分は台紙を補強。8個ある八方のうち7個を最終的に作制。外装部その他の縫製部分は新たな革三面分と蓋と箱部分の結合部。蓋と箱部分はもともと直接繋がっていたようだが完全に破損して分裂し、蓋にはつけしろ部分が残っていない状態のため蓋の革はそのまま使い、蓋と箱を繋ぐ革を一枚用意し蓋と箱を合体させた。蓋を開けることによる折れ曲がり部分への負担解消と修理時の整備性が向上。新しい革の縁取りの黒い線は半田コテで再現。古い革と新しい革の視覚的差はあるが劣化加工は行っていない。もともと使われていた黄色の糸は茶色に変色しているため糸は茶色を選択。
Hardwares: 新調した金物は内ベルト用にバックルと割ピン大。割ピン大はとっての取り付けにも使用。掛金錠の受け金具用にカシメピンと割りピン、内ポケット用にバネホックボタン。掛金錠の受け金具内のトーションばね交換。足となる金具は再利用。
Interior: 内張りは防虫剤のような強い匂いと劣化のため再利用したのは内ポケットの台紙、左右の革飾り、赤い生地そして内ベルトの左のみ。
台紙となる厚紙も新調。内ポケットの取り付けが唯一のミシン縫い。
蓋の側面はもともと茶色の薄い紙だったが内張りと同じ生地に張り替えた。
トランクの側面には元所有者の頭文字「R.O.」。「I.H.」(H.H.の可能性もあり)の頭文字が消された跡がある。側面に頭文字または名字が刻印やレタリングされたトランクは日本軍所有のものであった可能性が高い。軍の中で決まりであったか、流行りであったかは不明。
このような古いトランクに貼られている特徴的なステッカーは2種類あり、ひとつは外側に貼られている宿泊先ホテルのステッカー。
反対側の側面には台湾鉄道ホテル(1908-1945)のステッカー「THE TAIWAN RAILWAY HOTEL TAIPEH FORMOA JAPAN」、蓋にはステッカーが剥がされた跡が残っている。
もう一つは内部に貼られた販売店のステッカー。このトランクには貼られていなかったがこのトランクと全く同じデザインのトランクの内側に「海軍御用達 横須賀鞄店」というステッカーがある個体を見かけたことがある。