廃材工法トタニズム小屋

琺瑯看板を自然へ返す

面積は3m四方、高さは低い方で約2.2m、高い方で2.6m。購入した資材は地面に敷いたブロックと面材の合板、扉の丁番。採用したのは廃材工法。 屋根はベランダ屋根の廃材、扉はウッドデッキの廃材、その他周囲のトタンの波板、ネジ、柱材、土台、基礎ブロックも全て廃材。廃木材は刺さっているくぎ、ネジを全て除去、設計後、限られた不揃いの材木をどの部分に使用するか部材選定。この工程により資材を設計通り調達できるよりおよそ5倍から10倍時間がかかり、現場での制作期間は約3ヶ月。

に2×4式での壁組み立てであるが、 2×4材より細く強度のないスタッド材を使用、更に四方を通る下枠、上枠はツギハギ、天井は吹き抜けで1階天井をまたぐ梁はなく壁バネルは面としての強度はない。 そのため4つの角と扉には柱が立ち(うち3本が管柱)、 四方の柱間で途切れている壁パネルの枠の部分には通し柱または火打梁を設置し、枠のツギハギを補強し強度のない壁パネルの平面を保っている。 屋根はポリカ波板で面としての強度はなく強度のある骨組みが梁としての役目を果たしている。 床面はなく土台もツギハギで基礎との固定もほぼされていない。

外壁のトタン板に張ったのは金融屋の琺瑯看板。9割以上のサビでいたものを復元した。 琺瑯看板風のグラフィック制作をするが所有する本物の琺瑯看板はこれひとつだけ。 この小屋の外観における設計の基本概念は琺瑯看板が似合う建物、昭和中期に建てられたと思わせるような建物。最後に琺瑯看板を外壁に張ることをもって完成とすることにした。 錆びたトタン板も屋根材も昭和後期の当時物でウッドデッキ材は平成の物になる。 扉の色褪せ模様が合っていないのは板の反りを打ち消すため板の裏表を交互に並べてるためである。 錆びたトタン板もサビ模様が合っていないのは、入手先の違いと廃材の廃材を極力減らすための部材選定の努力によるもの。 色褪せ方にしろ、錆に方しろ建造物の一部としては不自然ではあるがそこまで不自然には見えない。

それはこのようなツギハギのトタン板で補修された建造物が実際に存在し、誰でもいつかどこかで見た記憶があるからだろう。そしてそのような建物に琺瑯看板がある景色を無意識にいつかどこかで見ている。看板や広告なんてそんな存在だ。 どこか遠く間接視野に入ってくるもので、自然の景観を損ねさせてきた存在、それが広告看板だ。

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