ミニ琺瑯ベンチ
奥行きは明治のオリジナルより4cm小さい。高さは明治のオリジナルとほぼ同じでコカ・コーラのオリジナルのものよりは10cmほど低い。横幅は4割程短い。座面の塗装は油性ライトオーク、板は一番手前の一本のみベンチ本体にネジ止めで残りの板は別のアルミ板に取り付けベンチの上に置いてある状態。
バイクスタンド同様、ビニールハウスの鉄パイプ廃材を利用、手動パイプベンダーのハイヒッキー曲げ。
琺瑯看板が生きる場所:当時の古い琺瑯看板はリサイクルショップ、フリーマーケットで割と簡単に入手できる。
そのデザインは魅力的で現在では骨董品、インテリアとして活用され一定の商品価値がある。
しかし数十年経った今、琺瑯看板における本当の価値は看板本体そのものにあるわけではない。
琺瑯看板の歴史的価値、希少価値は天然の状態で見られるその風景にある。
琺瑯看板のある駄菓子屋、トタン塀、古い家の外壁の景色ほど郷愁の想いを抱かせてくれるものはないだろう。
一方、琺瑯看板を商品として又は西洋風に飾られたインテリアの一部として見る眺めに品はなく、趣は一切感じられない。
収集家や市場によって保全される看板本体と違い、天然の琺瑯看板のある風景は家主、地主を巻き込むため保存の制御が効かない。
音楽でもファッションでもインテリアでもウェブデザインでも一部を構成する商品や部品だけを取り上げ、それだけを鑑賞したり評価する者が消費者の中はもちろん制作現場にも多い。まさに木を見て森を見ず。全く意味がなく、対象を取り巻く状況を総合的に判断する感性が低いといえる。
琺瑯看板はインテリアではなく元々屋外看板であり塀や壁に掛けられる前提で作制されている。看板は景色の一部であり、景色の一部になって初めて完成する。
このベンチのように一点モノの琺瑯看板風グラフィックデザインは設置場所が重要でオシャレなカフェなどに置いてはいけない。最適な置き場所がなければ琺瑯看板が似合う小屋でもデザインする必要がある。
