ミッドセンチュリー・モダン風のパソコンスタンド #1

ミッドセンチュリー・モダン風のパソコンスタンド / Mid Century Modern CPU Stand
戦後のミッドセンチュリー・モダン家具にみる様式のデスクトップ用タワー型パソコンスタンド、通称CPUスタンドの作制。なぜPCケースを含んだパソコン全体をCPUと呼んでいるのかは不明。PCを床から持ち上げる理由は防塵対策と電源ボタンの操作性改善の2つ。このスリーパーPCは吸気口が前面と前面下部にあり元々ケース内に防塵フィルターがないためより埃対策が必要になる。また電源ボタンはケースの中央部にあり床に直接設置した状態では届きづらい。作制したスタンドの高さは12.5cm。埃の吸い込み量、電源ボタンの押しやすさの比較検証はしてない。このスタンド制作のねらいはもう一つ別にある。

足踏み式ミシンのある部屋に不釣り合いなパソコンの存在をCPUスタンドのデザインで調和させることがねらいである。インテリアデザインの要素はハード面の天井、壁、床、窓、広さ、そしてソフト面の家具、家電などの備品。古民家やビンテージ品で揃えた部屋の雰囲気を損ねないため現代家電を隠すという手法は常套(じょうとう)手段である。格子の裏に組み込まれたクーラー、木の板でカバーされた洗濯機、木の箱でカバーされたブレーカーボックス。現代の機械製品に依存しながらも見た目だけは昔の雰囲気を味わおうとする古いモノ愛好家たちの創造性と趣向的感性の低さは滑稽である。

家庭用パソコンが普及し始めたのは1990年代で、90年代のPCケースはATXケースとしては最古の製品。一方ミシンは戦後の製品、およそ40年の差がある。醜いから隠して見えなくしてしまおう?なんて浅ましいく貧弱な思いつきであろうか。その差は想像と設計の力で埋めるものである。

今回作制したスタンドは小さく低い部分にある家具だけに部屋全体へ与える視覚的印象はかなり薄い。また意識して見たとしてもミッドセンチュリー・モダン家具としての面影はほとんど感じられず、木製の家具と90年代の白いプラスチック製のPCケースとの調和性は低い。 このスリーパーPC用のミッドセンチュリー・モダン様式、(改)世紀末モダン家具第1弾は第2弾の前世紀モダンPCスタンドへと続く。