グラフィックデザイナーによる年代物(ヴィンテージ) 再生、既製品の加工、自作の製品設計

プランテーションシャッター

手作り木製ブラインド ウェブ/グラフィックデザイナーによる設計と施工例 アメリカで見た市販のものは閉めたときの羽板同士の重なりは約1cm、隙間は2mm程度はできる。手作りのプランテーションシャッターは精度が悪いため閉めた時にできる隙間にばらつきがある。また閉まりきらない隙間は多いもので5mm程度になる。5mmあると特に夜間閉めた時下から覗き込むと室内は割と見える。そのため手作りの場合は羽板の重なりを1.2cm程度は見積もるのがよい。重なりが多き過ぎると閉まりきった時に羽板が垂直にならなくなる。同じ理由で羽板の面は真っ平らではなく、曲線的な面に加工してある。羽板が任意の角度で留まる仕組みは市販のものではテンションルーバーといって真ん中の一枚だけに張りを与えるネジつきのピンで動きの硬さを調整し、他の羽板は完全に空回りするようになっている。一方手作りでは直径4mmの木の棒をピンとして使い、基本的には羽板側へは4mmの穴、フレーム側へは5mmの穴を開け、各フレーム穴とピンの摩擦により羽板の角度が保たれる。が、これでは全ての羽板に張りがあるため動きはかなり固く、羽板を動かした時に出るきしむ音が大きい。そのためきしみ音解消と張りの強さは各穴を広げて調整している。 塗装に関しては、アメリカで見たものは木目の見えない光沢仕上げ。今回は木目の見えるツヤなし水性ペンキ仕上げ。 一般的な羽板の幅は3.5inch (8.9mm)。羽板を全開にした時を考慮して窓枠の奥行きで羽板の最大幅が決まる。【写真左】[Oct.28-Nov.12] 羽板10枚。羽板84mm幅に対して80.5mmの間隔で設計し羽板を設置。羽板の反りのため各羽板幅に2mm程度誤差があり実際の重なりは1-2mm。【写真中】[Dec.17-Dec.25] 羽板11枚。羽板の重なりを増やすため羽板を1枚追加。羽板間は72.2mmの間隔。重なりは約1cm。フレーム側の穴は全て埋め直し、新たな穴の開け直しと再調整。羽板の調整、取外しができるようにフレームの片側だけボンド接着、片側はネジ止め。羽板の端材は端材同士を接着し羽板を作成、合計44枚中8枚がツギハギの羽板。 ...

ミッドセンチュリー・モダン風 CPU スタンド#2

#2 電化製品がインテリアとして与える視覚的存在は大きく、どんなに美しい家具があってもそこにノートパソコンが一台あるだけでその雰囲気を台無しにしてしまう。ミッドセンチュリー・モダン家具様式のデスクトップ用タワー型パソコンスタンド、通称CPUスタンドの作制第二弾。この2010年代のPCケースには防塵フィルターが搭載され、ケース内の電源ユニット排気口は底にある。電源スイッチボタンはケースの中央部にあり届きづらいため配線を延長してモニター画面前に移設してある。 作制したスタンドの高さは14.5cm。塗装は水性ウレタンつや消しローズに少しエボニーを足してある。ミッドセンチュリー・モダン家具の特徴は斜めに生えた鋭い脚、そして機能とは無関係の左右(前後)非対称の斜めに伸びる直線である。その特徴は家具以外で自動車、建築、その他の工業製品にも見られる。今回の設計の唯一のねらいは現代的でなんの変哲もない部屋へミッドセンチュリー・モダンの趣を少しでも与えることであり床掃除のしやすさなどは一切考慮していない。 結論は設計の段階でわかっていた。このスタンドは机の下に配置され特徴的な斜めの直線は普段目に入ることはない。また木製の家具と現代的な真っ黒いPCケースとの調和性は極めて低く、机の下を除きこんで見たとしてもミッドセンチュリー・モダン家具としての面影はほとんど感じられない。その原因は冒頭にも記述したよう電化製品(今回の場合は既製品のPCケース)自体にある。このPC用のミッドセンチュリー・モダン様式、(改)前世紀モダン家具は 第一弾 からの続き、 第三弾 へと続く。 前世紀モダン家具

ミッドセンチュリー・モダン風のパソコンスタンド #1

戦後のミッドセンチュリー・モダン家具にみる様式のデスクトップ用タワー型パソコンスタンド、通称CPUスタンドの作制。なぜPCケースを含んだパソコン全体をCPUと呼んでいるのかは不明。PCを床から持ち上げる理由は防塵対策と電源ボタンの操作性改善の2つ。このスリーパーPCは吸気口が前面と前面下部にあり元々ケース内に防塵フィルターがないためより埃対策が必要になる。また電源ボタンはケースの中央部にあり床に直接設置した状態では届きづらい。作制したスタンドの高さは12.5cm。埃の吸い込み量、電源ボタンの押しやすさの比較検証はしてない。このスタンド制作のねらいはもう一つ別にある。 足踏み式ミシンのある部屋に不釣り合いなパソコンの存在をCPUスタンドのデザインで調和させることがねらいである。インテリアデザインの要素はハード面の天井、壁、床、窓、広さ、そしてソフト面の家具、家電などの備品。古民家やビンテージ品で揃えた部屋の雰囲気を損ねないため現代家電を隠すという手法は 常套 ( じょうとう ) 手段である。格子の裏に組み込まれたクーラー、木の板でカバーされた洗濯機、木の箱でカバーされたブレーカーボックス。現代の機械製品に依存しながらも見た目だけは昔の雰囲気を味わおうとする古いモノ愛好家たちの創造性と趣向的感性の低さは滑稽である。 家庭用パソコンが普及し始めたのは1990年代で、90年代のPCケースはATXケースとしては最古の製品。一方ミシンは戦後の製品、およそ40年の差がある。醜いから隠して見えなくしてしまおう?なんて浅ましいく貧弱な思いつきであろうか。その差は想像と設計の力で埋めるものである。 今回作制したスタンドは小さく低い部分にある家具だけに部屋全体へ与える視覚的印象はかなり薄い。また意識して見たとしてもミッドセンチュリー・モダン家具としての面影はほとんど感じられず、木製の家具と90年代の白いプラスチック製のPCケースとの調和性は低い。 このスリーパーPC用のミッドセンチュリー・モダン様式、(改)世紀末モダン家具第1弾は 第2弾の前世紀モダンPCスタンド へと続く。